以前より夜戦カットイン発動率の計算式に反例が報告されていたため調査を行いました
内容が長いのでまずは結論から
現行の計算式は以下のようになっていますが、
調査を行った結果、
運50以上のCI項計算式において、√(運-50)の項、または0.8*√(Lv.)の項、もしくはその両方に切り捨てが入ってる可能性が高いことがわかりました。
この3パターンのうちのどれかというのは特定が不可能でした。
どのパターンでも計算結果は同じなので綺麗だなと思うやつを好みで採用してください。
当ブログでは運の項に切り捨てを入れるパターンを採用することにします。
今のところ、現行式の反例12件を新式ですべて矛盾なく説明できています。
新式に基づいて計算すると、CI項が上昇するレベル・運は以下になります
小数点以下の合算による繰上りがなくなったのでかなりシンプルになりました
データ
検証の経緯
事の発端は去年の7月中頃、夜戦CIに関するDBデータ解析がDivinityさんとfourinoneさんから発表されたことでした。
この発表は非常に多岐にわたる内容のものだったのですが、
この中の一節、「水雷見張りの夜戦CIの補正は水雷系にしか効果が無く、またこれまで想定されてたよりも補正が1小さい+8。そして2種積みはノーマル見張り員の効果が消える。」という部分が今後に影響してきます。
2. Torpedo squadron skilled lookout for other cutins
— Divinity_123 (@Divinity_123) 2023年7月15日
We find that the earlier estimated bonus (+9 base value for DD/CL(T); +5 base value for CA(V)) is inaccurate due to problems in the submitted data. The new estimation is +8 base value for DD/CL(T) and +0 for other ship types.
約半月後「2種積みはノーマル見張り員の効果が消える」という説を追試していた北風太郎さんから矛盾が報告されます
水雷戦隊熟練見張員補正が8だったとの報告を受けて念のため
— 北風太郎 (@agosdufovj) 2023年7月25日
熟練見張員補正5と水雷戦隊熟練見張員補正8が両方加算されるとすると、
CI項115になる雪風改二で種別係数115の主魚CI不発を確認しました
熟練見張員補正と水雷戦隊熟練見張員補正の両方を積んでも両方加算されるわけではないと思われます pic.twitter.com/7vMkr6I5si
ID129:熟練見張員とID:412水雷戦隊熟練見張員を両方つんだ場合、
— 北風太郎 (@agosdufovj) 2023年8月4日
水見の+8のみ適応されるという仮説を立証するため
Lv99旗艦中破随伴探照灯の想定CI項113Ташкент改で種別係数115の主魚CI不発、
Lv97-99旗艦中破随伴探照灯の想定CI項123Jervis改で種別系数125の魚魚水CI不発を観測しにいった
しかし、
— 北風太郎 (@agosdufovj) 2023年8月4日
Ташкент改で406件
Jervis改で601件
不発を観測することができなかった pic.twitter.com/wktGV0qWIy
要約すると、
両見張り員の補正が有効だと仮定した場合不発しない条件で、仮説通りに不発を観測。
しかしノーマル見張り員の効果が無効と仮定した場合に2%弱不発する条件で、1000件強夜戦カットイン不発を観測できなかった。
というもので、
見張り2種積みではそれぞれの効果をそのまま足し合わせた分の効果は出ていないが、何かしらの発動率上昇効果があるというかなりいびつな結果に。
このいびつな結果が気になった自分はここから詳細を調べはじめました
最初に疑ったのは水雷見張り員の効果。
DB調査からの数値+8ではなく、さらに1小さい+7なのではと疑いました。
+7なら北風さんの結果が矛盾なく説明できるからです。
結果は
このタシュケント レベル99 運52 中破旗艦
— ⒸⒸ_Ⓙⓐⓑⓑⓔⓡⓦⓞⓒⓚ (@CC_jabberwock) 2023年8月13日
素CI項74 旗艦+15 中破+18 水雷見張り+8
合計CI項115で主魚CI100%想定
このタシュケントで主魚カットイン不発を観測
水雷見張りのCI項補正は+8ではなさそうですhttps://t.co/K3VR7fM1AU pic.twitter.com/ASvcdMXe7y
Lv99運52旗艦中破水雷見張り装備の北上改二で主魚CIの不発を確認した pic.twitter.com/VcgsxWObRq
— 北風太郎 (@agosdufovj) 2023年8月14日
水雷見張りの効果が+8の場合不発しない条件で不発を観測
実際+7が正しいであろうという結果が得られました。
想定通りの結果となったものの、DBからの推定は膨大なデータ量から導き出されているため確度が高く、こちらの結論が間違っている可能性も十分にあり得ました。
ということで自説を補強すべく主魚カットインの種別定数を改めて調べることにしました。
突飛な発想かとは思いますが、艦これでは一か所変更が入るとその周辺にも手が加えられることが結構あるので、夜戦カットインの仕様変更のついでに種別定数がいじられた可能性もあるなと経験則的に感じたためです。
結果は
旗艦時雨改三 運56 主魚CI構成
— ⒸⒸ_Ⓙⓐⓑⓑⓔⓡⓦⓞⓒⓚ (@CC_jabberwock) 2023年10月15日
探照灯発動中破条件 CI項115で主魚CI発動率100%想定
この構成で不発を観測https://t.co/RhDLAZuZrP pic.twitter.com/ZofmGvma5f
旗艦 丹陽 運60 主魚CI構成
— ⒸⒸ_Ⓙⓐⓑⓑⓔⓡⓦⓞⓒⓚ (@CC_jabberwock) 2023年10月26日
探照灯発動 中破条件 CI項116
この構成で主魚CI 537回連続発動を観測
仮に種別定数が117と仮定した場合、537回連続発動する確率は0.996%
主魚カットインの種別定数は116、または計算式に1ズレる不備があると思われます
データhttps://t.co/k6PCMbYJ6C pic.twitter.com/6f70pGa4N2
CI項115で主魚カットインが不発、116で不発が観測されず。
主魚カットインの種別定数が116に変更されたこと、そして水雷見張りの効果がDBの通り+8であることを支持する結果が得られました。
これで今までの結果がすべて矛盾なく説明が付くようになりました。めでたしめでたし
となる予定だったのですが。。。。 (ブログ記事まで書いていたのに。。。)
過去検証にCI項115で主魚カットイン不発無しの検証があり、
予備調査
— のらたこ (@noratako5) 2016年11月8日
同じく運47、Lv122~124、旗艦中破見張員探照灯主魚カットイン
発動率100%(501/501)
レベル変動してて本番データとして使えないので件数この辺で妥協
キャップ無く100%到達可能っぽいので本番データ集め始めてよさげ
またCI項計算式に不備がある可能性が残されていたため確認を兼ねて追試を行いました。
追試がこちら
旗艦Johnston改 運48 主魚CI構成
— ⒸⒸ_Ⓙⓐⓑⓑⓔⓡⓦⓞⓒⓚ (@CC_jabberwock) 2023年11月12日
探照灯発動 中破条件 CI項115
この構成で主魚CI 534回連続発動
仮に種別定数が116とした場合、534回連続発動する確率は0.982%
運48では既存式通りとなり、CI項計算式に不備がある可能性が高くなったと言えそうです
データhttps://t.co/k6PCMbYbh4 pic.twitter.com/RtZ0zFLSyS
結果はCI項115で主魚カットインが不発せず。。。。。
主魚CIの種別定数に変更は入っておらず、CI項の計算式に不備がある可能性が濃厚となりました。
ここから本題のCI項計算式の精査がはじまります
カットイン発動率計算式の詳細調査
これまでの検証結果を一覧にまとめたものが以下の表になります
赤太文字の条件が既存式の反例です
反例は運50以上のみで観測されており、こちらの計算式の方に問題がありそうです
考えられる原因としては切り捨て位置の問題が一番ありがちですが、根拠は一切ないので、とりあえずとっかかりを得るため最もシンプルな「時雨改三 レベル99 運56 旗艦 中破 探照灯」の条件から運を1ずつ上げていき、どこで不発しなくなるのかを調べることにしました。
結果がこちら
運56から運を上げていくと運59で不発しなくなりました。
この結果から、CI項計算式と実際とのズレはそれほど大きく無いことがわかり、また、59という運の値は計算式:√(運-50)でちょうど整数部が2から3に切り替わる位置なので、やはり当初の予想通り切り捨て位置の問題の可能性が高そうだというのがわかりました。
ということでここから切り捨てのありなしで仮説式を立て、可能性を潰していく作業に移りました。
この式で切り捨ての入る可能性があるのは√(運-50)、√(Lv.)、そして0.8*√(Lv.)の3か所
それぞれパターンA・B・Cとして、重複するパターンAC・AB・BC・ABCがあるので調べる仮説式は合計で7つ
計算機を作って先ほどの時雨改三の結果を入れたのがこちら
運58のデータは不発を観測しているので、計算結果が115となって不発が起こらない想定となるパターンBは否定されました。
次に、計算機をたたいて見つけ出した好さげな条件の検証データがこれ
旗艦矢矧改二乙/運58/Lv.127-128
— ⒸⒸ_Ⓙⓐⓑⓑⓔⓡⓦⓞⓒⓚ (@CC_jabberwock) 2024年1月5日
探照灯/照明弾/見張/水雷見条件
CI項=int(65+√(58-50)+0.8√128)+15+7+4+5+8=115
534件不発無し
仮に1足りないとして主魚CIが534回連続発動する確率は0.94%
この条件では主魚CIの100%発動要件を満たしていると考えてよさそう
データhttps://t.co/2LHDWmwW80 pic.twitter.com/nyEiFZa55d
計算機に入れたのがこちら
この条件では不発しなかったので、不発が想定されるパターンAB・BC・ABCが否定されました。
残るパターンはA・C・ACの3つですが、この3条件は計算結果がすべて同じになるのでこの中から正しいもの一つを特定することはできませんでした。
仮説式が実質的に一つに絞れたので、これまでの検証結果と照らし合わせた結果がこちら
現行式のCI項で不発しないはずの反例12件すべてで種別定数>新式CI項となっており 全件矛盾なく説明がついています。
また、0.8*√(Lv.)の項の係数0.8が違う説についても考察しましたが、検証データを矛盾無く説明できる係数は存在しませんでした。
ということで今回の検証の結論
CI項計算式は運50以上の計算式において、√(運-50)の項、または0.8*√(Lv.)の項、もしくはその両方に切り捨てが入ってる可能性が高い。
以上になります。
謝辞
先行調査と追試ありがとうございました
反例のデータありがとうございました
適当に流そうとしていたところをたしなめていただきありがとうございました